この時期、お茶屋さんはそわそわしてくる。それは、新茶が近づいてくるからだ。
今年も新茶の初取引がはじまる
今年の鹿児島の初取引は4月5日となった。
その年の鹿児島のお茶の流通は、この初取引からはじまる。お茶屋さんにとっては新年みたいなものだ。
鹿児島の茶農家さんが作った新茶の多くは、鹿児島茶市場に集まる。「多くは」と書いたのは、農家さんから直接静岡の茶市場に出荷されるものがあったり、農家さんから直接鹿児島の入札業者に持ち込まれるお茶があったりするからだ。
それでも、多くはこの鹿児島茶市場に集まり、それが4月5日から取引が始まる。
日本茶の美味しさをどうやって作っているか
我々は、この入札業者で、鹿児島の茶市場に集まったお茶の競りに参加し、一番の高値をつけることができたら、そのお茶を競り落とすことができるという権利を持つ。
株式会社下堂園では、新茶としてその年に採れた生葉を使ったお茶を販売するのは、5月いっぱいまで。6月からは前年のお茶をブレンドしてお茶の味を作る。
5月いっぱい販売される新茶とは、1番茶の時期に仕入れたお茶だけで味を作る。なので、年によっていい意味で味がぶれる。お茶とは、農産物を加工した農産加工品なので、天候や産地でその年その年の個性が出る。その生葉だけを使ったお茶なので、年によって味が変わる。まあ、当たり前の話なのですが。
で、新茶が終わる6月入ると、味を安定させるために、前年度のお茶をブレンドするのだ。このあたりのブレンドの妙は、ウィスキーなどのお酒と似ている。
新茶が終わると、お茶の味を安定させるために、いい意味で今年のお茶の個性をなくし、そのお茶のブランドが持っているお茶の味に仕上げていくのだ。
お茶は飲む時期によって楽しみ方が変わる
なので、その年のお茶の個性、旬を楽しむなら5月までに購入するのがオススメだし、安定したお茶の味を楽しむなら6月以降がおすすめです。ちなみに、お茶屋さんは季節に応じて、微妙にブレンドするお茶の比率や、お茶の焙煎の具合を調整して味を整えています。やはり、気温や湿度が変わると人が味を感じるセンサーも変化するので、それに合わせて味を仕上げるようにしているのです。
新茶が来ますね。楽しみ。